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「ペダルは “耳” で踏むんだよ。」

※すみません、幼児教育のお話ではありません。

私は中学生のころ、ピアノの師匠にこう言われました。「ペダルを踏むのは足じゃないんだ。“ 耳 ”で踏むんだよ。(余韻を)耳で切ったりつなげるんだ。」この言葉を思い出したのは、とても良い “耳” を持つ人の演奏を聴いたからです。

それは昨日の、第18回ショパン国際ピアノコンクールでの演奏です。このコンクールは、受賞した若い音楽家にとって世界的なキャリアのはじまりと言われています。その決勝となり本選会の様子をYoutubeで視聴しました。今はコンクールの演奏は一次予選から聴くことができます。ショパンコンクールの場合、コンクールの開催目的である「ショパンの音楽の様々な解釈を発見する機会。」のためでしょう。素敵です。

そして、数多くのピアニストの中から最高位に輝いたのは、ブルース・シャオユー・リウさん(カナダ)です。彼は、非常に“耳” の良い人でした。 本選ではショパンのピアノ協奏曲の一番を演奏しましたが、40分以上の楽曲を新しい美しさで聴かせてくれました。

一曲の中に、テクニックの難所やオーケストラとのメロディの受け渡しが数多くあります。彼は曲中の場面ごとに車のギアを変えるように、タッチや音色を変化させます。指や腕で音を作り、耳(ペダル)で全体を演出している感じ。その音の変化は、ペダルを“耳” で踏んでいる人、そのものなのです。どんな環境で勉強をしたのか少し調べると、彼の先生はダン・タイ・ソンさんだそうです。彼はアジア人初の、ショパンコンクールの優勝者でした。

このコンクールは、演奏するピアノが選べます。そして、リウさんが選んだピアノは、FAZIOLI(ファツィオリ)のピアノです。恥ずかしながら、私はFAZIOLI(ファツィオリ)というピアノを初めて知りました。FAZIOLI(ファツィオリ)は、イタリアの新しいメーカーですが、現代ピアノの世界最高峰であるSTEINWAY(スタインウェイ)を進化させたものだそうです。音の職人が耳を頼りに、1年にたったの130台、コツコツと制作しているそうです。低音は厚みがありますが重苦しさがなく、高音は最高の木琴のように澄みきっていました。

今回のショパンコンクールでは色んな発見がありました。なんとなく役者の柄本佑さんにちょっと似た、“耳” のとても良いブルース・リウさん。ほかの演奏も聞いてみたいと思いました。