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「いたくない、いたくない」

小さな子どもが「こてっ」と転び、お母さんが「いたくない、いたくない」と歩み寄ります。おかあさんに「いたくない」と言われると、なんだか平気な気がして、子どもはまた元気に遊び始めます。昔から「いたいのいたいの、飛んでけー」とも言いますね。

子どもになり代わって、大人が話すことを「代弁」と言うそうです。例えば、おもちゃを持ってご機嫌な子に「楽しい!楽しい!」、ご飯を食べるとき「おいしいねぇ」。大人が楽しいわけでも、おいしいわけでもないのに、子どもに代わって言語化します。それが、子どものコミュニケーションの力を育てたり、親が子に望むあるべき姿を無意識に伝えることもあるそうです。

お母さんが子育ての中で「代弁」を一番使うのは、子どもが生後6~9か月頃です。それまで一つの繭の中にいたような赤ちゃんとママが、互いを“別の人間なのだ”と意識する時期ではないでしょうか。生後6~9か月頃は、喃語が出て、お座りができ、大人の食べ物をじっと見て離乳食をはじめたり、人見知りをする頃と重なります。

研究者の岡本依子さんは「親子は通じ合っているから代弁ができるのではなく、むしろ代弁は通じ合いたいという思いであり、試行錯誤のひとつといえるだろう。」と言います。(出典)おしゃべり前だけど、伝えたい様子が満ちてきた子どもが何を言いたいのか、分かりたいから大人は観察して、言葉にして、理解しようという子育ての形態なのですね。

親は「あたりまえ」「こうなってほしい」我が子のイメージを、「代弁」におりこみながら、無意識的に子どもに伝えていきます。それが冒頭に述べた、ちょっとくらい痛くても「いたくない、いたくない!」と辛抱できる子ども像を、今の我が子に重ねて伝えるものかもしれませんね。